春はあけぼの

やうやう白くなりゆく

山際、少し明かりて

紫だちたる雲の細くたなびきたる
草木萌動
春だ
エメラルド山にも春が訪れる

くうくう

ハミル
起きろ
お前の好きな春だぞ

よく寝るの
このクマは
ええ
キサマ様
本来は冬眠している筈ですので
おっ

オッス
ワエハに
キサマ様
起きたか
ハミル

「ハミル、スッキリしとるの」
「うん、キサマ様」
なんだろ、変に気が合った
熊のハミル、蠅のワエハ、そして蜚蠊のキサマ
合言葉はコナイデ
そんな物憂げな共通項の3体だったが、
ハミルは感じていた
ばあちゃんの優しさや
ナオトとの寄り合いや
勿論アロヤの厳しさとも違う
獅子のトシミとも、
ワエハやキサマ様といると心が和んだ
気疲れとか体面を取り繕うような、距離感の隔たりが少なかった
初めての落ちつきだった
これが友と呼ぶに相違いない感覚なのだろうか
「ハミル、血吸うたろか」
「それは蚊だ!ワエハは蠅だろう!」
「アッハッハ。ハミル見ておれ」
キサマ様が近くの木に登り始めた
「ほれ!どうじゃ!」
「飛んだ!!キサマ様飛べるんですか!?」
「そうじゃ、ワシは空だって舞えるんじゃぞ」
ゴキブリは飛ぶ
とは言えど、地面から飛ぶようなことはなく、高い所から降りる時に羽をはためかせて自身の体を支える
最大距離で5mくらい
「すごい!ワエハも飛べるし。俺も飛んでみたいな」
ハミルが口惜しそうに発して噤んだ
右の口角を少し上げて、やや微笑みを作った
「お前が飛んだら世界がひっくり返るぞ」
ワエハが言いながら、ハミルの頭のてっぺんまで羽ばたいた
「飛ぶ熊か、見てみたいもんじゃな」
キサマ様が少し誇らしげに、ゴキブリの羽を左右に揺らす
「綺麗な羽ですね。キサマ様」
「なにを、ワシはゴキブリじゃ」
「だからなんだって言うんですか?」
「うん、なんじゃハミル。そんなの当然じゃろ。ワシは嫌われ者の代名詞みたいなもんじゃ。ゴキブリじゃぞ。蜚蠊」
「俺はキサマ様が好きです」
「ありがとう」
照れ臭そうな表情を浮かべたキサマ様
その様子を熊の旋毛から優しく見つめるワエハ
そのまま口を開く
「俺たちは、、
「うわ!あいつ前の奴!」
「えっ、蠅と蜚蠊と一緒?」

「おいおい、すごいトリオだな。アンクナット、なあ。熊と蠅と蜚蠊だぞ。嫌われ者トリオかよ」
「ふん、まあいいんじゃないか。ほっとけ」
「シマウマとキリンとサイの俺たちとは大違いだな。俺たちは愛されてるからな。なあ、アンクナット」
「俺はバイソンだ。犀じゃない」
「えっ、そうなの?知らなかった」
「それに、俺はそこまで愛されてない」
「ふーん。そうか」
「お前だって」
「何!俺はシマウマだぞ!こんなに可愛いし、愛されてるに決まってるだろ!」
横を向いて徐に縞模様を見せつける、ストループ
「なあ、お前はとびっきり愛されてるだろ。ネックロス」
縞馬と野牛が麒麟に視線を向ける

「所詮俺たちは、見せ物さ。塔と一緒だよ、俺なんて」
言葉が終わって、森閑のシジマの中に鳥の囀りが渡ってくる
どこか悲しげに人気者達も歩き出した

「あいつら、許さねえ。馬花にしやがって!刺してやる!」
怒りの表情を浮かべて羽を広げる、蠅
「やめろ!ワエハ!」
ゴキブリがハエを塞き止める
「やめなさい。ワエハ。我々は我慢するしかないんじゃ。攻撃なんかしてしまえば返り討ちされるだけじゃ。儂等は嫌われている上に、無力。いいか、生き抜くには耐えるしかないんじゃ。プライドなんて捨ててしまえ。誇りなど一切持ち合わせるな!」
「ワエハ様。悲しいです、悲しいですね。俺たちだって必死に、一生懸命生きています」
花美留は?
震えている?
小刻みに振動する肉体を制御できない
熊の様子に気付いて戸惑いながら、ワエハ
「どうした、ハミル」
「いや、少し、うん、大丈夫、ごめん、ごめんなさい」
「どうしたんじゃ。ハミル。何かあれば話していいんじゃぞ。ワシらは仲間じゃ。何故震えておる?」

こ、こわい、んです
殺られるよりも。
野蛮だとか、暴挙だとか、怖い存在
決めつけられていることが
ただ生まれてきちまって、
生きるしかなくて、
只、必死で生きる
過程でやっちまって、
迷惑かけて
そんな存在になっちまって
そんな視線を浴びちまう
俺には、どこに行っても殺戮のイメージが、俺の爪にはこびりついちまって拭われねぇ
強力な除光液でもぶっかけてマニキュアみてえに落とせりゃいいのに、そういう訳にもいきやしねぇ
ああ!あい!
冷てえ視線で、悪魔の言葉で
尊厳を破壊されることが、怖くて仕方ねぇ
「ハミル」
「花美留、大丈夫じゃ!仲間じや」
俺の爪を剥がしてくれ
銃口じゃねえし、
麻酔打たれた記憶が痺れちまって微動が止まらんねえ
そんな視線じゃなくて
すいません
資格はありますか、許可はいりますか
俺が浴びたいのは

除光しねえでくれ、よ

寄越しやがれ

そのスカスカの棒を

共存できるか
なあチュリミ
うーん
どうかな
危害の可能性がある以上無理だよな
うん
科学がどう進歩するか
殺傷能力を抹消できるか
私のポカポカ頭じゃ分からないよ
そうだな
無人島
動物達のか
私のフワフワ頭じゃわからないよ
くまったな
初めての
そうか
りんごしま
りんご島
りんご縞だろ

人と動物の縞島
ちゃんと隠してよ
馬花 162
真夜中の山の遊園地
暗闇に仄かな月明かり
客は勿論、従業員もいない
偶々、同じ時
3組がその貸切に訪れた


「ミアイお兄ちゃん、私のサンダルあるかしら」
「初めて来たんだから、ないだろう」
「うん、そうだよね。ねえ」
「うん?」
「メリーゴーラウンド。乗っていい?」
「動かんぞ」
「いいの。お願い。馬車に乗りたい」
「馬車?」
あれ、トマトの馬車



お兄ちゃんは馬

けっこう楽しいぞー


ふう、コーヒーカップか

「こんなとこに宝なんか無いだろう」
ん?あれは

城か。調べてみるか

おい、観覧車だ


「乗るか、ラララ」
「乗ってどうする。動かないんだぞ」
「宝って、意外とああいう所にあったりしないか」
「・・・たまには、マトモなこと言うんだな」
「おいおい、俺は副キャプテンだぞ!今はラララより上なんだぞ」
「ヘイヘイ、ルルルさん。調べてみるか」
「ああ、そうだな。調べてみましょうか、だろ。」
「行くぞ」
「・・・」

乗り込めるゴンドラは一台のみだった
一番低いゴンドラに乗り込む
ラララとルルル副キャプテン


・・・・・

・・・・・

綺麗なお月様
馬花 163
あー
もうやってられないよ
黒い花
咲かせちゃうよ

お先真っ暗
こんな世の中じゃ
黒い花が咲いちゃうよ
さあ、
僕はエルヒ
行こう行こう

エルヒさん
ああ
スティングじゃないか
元気かい
ええ
世の中はどうだい
ええ
殺伐として
蜂のように鋭いWORLDになっています
そうかい
JAPANはどうなっていくんだろう
そうですね
令和5年時点
3,623万人
65歳以上の高齢者は29.1%
2050年には
およそ40%が高齢者となる見込みです
人口は?
2050年には1億人を割る見込みです
そうか
人口は減少するけど
高齢者は増えるってことだね
ええ、高齢者は微増していきますが
生産年齢人口15-64歳
及び若年人口が大幅に減少します
労働力は減少するのに
社会保障負担は増加するなんて
やってられないよ
介護もやらなきゃね
いったい誰が支えるのさ
※総務省データ参考
この国をさ

おや

エルヒさん
グリーンマスクじゃないか
こんにちは
グリーンマスク担当の環境問題はどうなっているかい
相変わらず温暖化は進行しています
海洋汚染、土壌汚染、森林破壊、資源枯渇、大気汚染
問題は山積みです
ふう
あっつっつ
ところで
エルヒさん
酸性雨
ご存知でしょうか
酸性雨?
何だっけ
ph5.6以下の雨を酸性雨と言います
phとは?
水溶液の水素イオン濃度を表します
ふむう
ph7.0が中性です
それ以下だと酸性
それ以上だとアルカリ性
何やってんだかよく分からず、リトマス紙をつけたあの液体です
僕まだ3年生だから、四月から4年生
小学生ね
そうですか
では、まだですかね
リトマス紙
うん、6年生でやるのかな?

アレが水溶液です
通常の雨はph5.6の弱酸性です
ph5.6以下が酸性雨ですが、日本ではphの平均値は4.8とか5.0以下のことが近年の統計のようです
ですから我が国の雨は酸性雨です
どんな影響が出るの?
酸性雨になる原因ですが、石油の燃焼によります。また、工場の煙や車の排気ガス。これらに含まれる硫黄酸化物や窒素酸化物などが雨中に含まれてしまうことにあります。
河川や湖沼が酸性化してしまうと、魚などが棲めなくなってしまいます
森林が衰退したり、金属が錆びたり、コンクリートを溶かしたり。
世界の建造物や遺産にも影響があるようです
ふーむ
困ったね
石油の使用か
ふうむ
ちなみに人体の正常なphは
7.35〜7.45です

ごっつぁんです!
ハナノロクじゃないか
食品ロス問題はどうなっているかい
うっちゃり!
年間472万トンでごわす、倭国
世界の飢餓に苦しむ人への食糧支援が480万トン
ほぼ同等でごわす
※参考 消費者庁ホームページ
※農林水産省及び環境省「令和4年度推計」
1トンは?
1000kgでごわす
つまり
1kgのステーキが、
年間472万枚が捨てられます
365で割ると
1日あたり
12,932枚の1kgのステーキが捨てられてます
200gだと64,660枚か
うーん、もったいない

323,300切れのステーキ

体も酸性に傾いたり、アルカリ性に傾いたりするみたいだ
酸性食品は、お肉や牛乳やチーズなど
アルカリ食品は、野菜や果物や大豆など
酸性に傾くと、免疫が弱くなったり老化や慢性疲労
アルカリ性に傾くと、しびれやけいれん、吐き気
酸とアルカリをバランスよく摂らないといけないんだってさ
健康
※ph(ペーハー) 7.35〜7.45 人体

オーホッホ!
あっオホホマン
宇宙と恐竜について報告に来たぞ
あっ
今日はいいや
時間ないから
じゃあ
オーホッホ


U.S.A.For Africa

We Are The World
「では、クラス会を始めます。高2最後のクラス会です」
他人の子、愛せますか
「議題は、シャヤさんの妊娠についてです」

あれから視界に黄色が滲むんだ
医者は黄視症と診断した
心因性の可能性を示唆された
知らない男とシャヤの子の父親になる
シャヤのことが好きだから、
シャヤと居たいから、
共に生きるために
赤子ごと抱える
9月には僕は父親になる
10月には僕は成年になる
一月あまり未成年の父親を過ごすのだろう
耐えられるだろうか
17のか弱き子鼠に

私はキャキャに告白した
妊娠の事実
学級委員長のキャキャは
信頼できる相手だ
人が良くて都合良く使われたり、
でも
律儀で真面目なその性格を、
信頼して。
一つだけ、嘘をついた

シャヤから告白を受けた
妊娠の事実だ
父親はリャリャらしい
2人は出産に向けて進んでる
シャヤは気丈な女だ
真っ直ぐ私に打ち明けた
加えて
隠すことなくクラスメイトにも打ち明けたい、
その方がスッキリするし隠しきれない腹にも、
申し訳が立つ
力になりたい
「皆さん、どうですか」

まあ、いいんじゃない

2人が良ければね

バッカじゃないの

未成年で妊娠とかあり得ないでしょ

シャヤさんの
体調は大丈夫ですか

みんな真剣に考えよう
「てめー、パュパュ偉そうに言ってんじゃねえぞ。お前、優等生面しやがって。成績ビリじゃねぇか!馬花のクセに」
ミュミュが口を挟む
「な!そんなこと関係ないじゃないですか!シャヤさんとリャリャくんが大変な状況なんですよ!」
パン!!フォフォが机を叩いた
「ほっとけばいいでしょ!リャリャとシャヤの問題なんだから。私達まで巻き込まないでよ。生むなら産めばいいし!堕ろすならオロセバ!」
「違う!」
学級委員長
「みんなで協力するんです!シャヤさんが私達と一緒に卒業できるように助け合うんです。9月頃には赤ちゃんの出産予定です。私達はクラス替えがないので3年生になっても皆クラスメイトです」
「助け合うって?」
チョチョが真中最前列の席から教壇のキャキャに問いかける
「シャヤさんは学校に来ます。4月から安定期に入りますので、リャリャくんと一緒に登校する予定です。お腹は大きくなっていきますので、私達がどう彼女を、いや、2人を支えていくか」
「いや、そんなの強制されても困るし。私達受験生だよ」
アイサがウザそうな表情を浮かべた
「みんな真剣に考えよう!僕たちだって生命について学ぶいい機会かもしれない」
眼鏡のパュパュが左手でフレームをやや上げる
「私達になにができるか分からないですけど、私はシャヤさんに元気なお子さんを生んで頂きたいです」
ナァナァ
キャキャ
「そうです。シャヤさんの体調に異変があれば私達が気付いて対処しなければいけません。眩暈やフラつき、食欲なども変化があるようですし、腹痛や吐き気などを訴えることもあるかもしれません」
「なんでそんなことしないといけないんですか」
誰が言ったか分からなかった
「クラスメイトだからです」

シャヤ

黄色が消えないんだ
首筋を横断するその黄色は
光か

警告なのか
母さん
僕の子じゃないんだよ
それでもいいの
リャリャは好きなのかい
シャヤさんのこと
うん、好きだよ
じゃあ
答えは一つだろ
母さんは血の通わない孫を愛せる?
当たり前だろ
それより、籍を入れないと
子供が生まれてから
入れる
そうなのかい
うん
子供が生まれた日に籍を入れる
2人で決めたのかい
うん
名前は決めたのかい
ラザナ

「まあ、わかったーよ!生まれるまで協力すればいいんでしょ!はいはい」
違います
そうですが、違います
大切なことは生まれてからです
みんなが父親と母親になるんです。
人の子、愛せますか

2年後
2027年

ラララ、ハミルENに入ってみてどうだ
あゝ、まあ慣れてきたかな
みんなで子供を育てて、みんなで高齢者をみる
ああ、まあそうだな
全員が均等に金持って、
病気とかな手術とかな、
出産とか葬式とかな、
用入りのところがあればそこに回す
あゝ、HMHRとはかなり違うな
考え方は
何が正しいかなんてわからないさ
全員で親になる
ああ、
無限の孫と老後の土産だ
負担が減るしな
介護や子育てだってな
1対1より
10対10を可能にしていく
自由だって増える、見える
そのために
独占欲、撃ち殺せますか
seventeenの子鼠たち


THE BLUE HEARTS
馬花 165
卒業おめでとう

ありがとう
ございます

ルチカくん
卒業おめでとう
ウフッ
ポニテ先生
ありがとうございます

ルチカ
おめでとう
オワリ先生
担任お世話になりました
ウフッ

ルチカくん
おめでとう
うふっ
イトキョ先生
ありがとうございます


ルチカくん
おめでとう
校長先生
ありがとうございました
パオーン!

最初の学び舎が終わった
初めての卒業

嬉しくはない
すぐ次のステージに立つから

僕は留美流智哉
ルミ ルチカだ
いつも一緒だった
同じハミルENの
アユラが静岡に転校して、
僕は同級生と仲を深めた
大熊武志
影山今日花
住倉雄介
わかっていた
僕は彼の短髪に
恋をした
軽く持上げたその毛髪
一際短く刈上げたサイドから覗く頭皮が、
グレー
やっぱり男の子だった
ハッキリ気付いていたけど、
気付かないフリをしていた
中学に上がれば
己の運命とか宿命とか、性とか
現実に暴挙されるんだろう
膨らみを増して
女へと準備を始める女子
急激な身長の伸長や
筋肉の発達を遂げる男子
彼らの逞しさを増す体躯を覗く度、
ナニカ余計な動きをしてしまう
同性である以上、
肉体を窺う機会が多い事態は避けられない
意思で制御不能の余分な血液が走り出し、男性部目掛けて襲って来る
抑えることを余儀なくされる性の瞬間と血が巡って、その度に不埒にクタビレル
俗に言う
僕はそうです
バイセクシャルだ
人より起立の機会が多い
より苦しむのは男性好意だった
だって、、、固度が増していくから
焦がれるような熱情を抱くのは決まって
男子だった
女子に対しても仄かな想いを持つ

頼むよ
認めてくれますか

私を

誰と結ばれればいいですか

それが僕が僕を
救う未来だから


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