馬花343
邪魔な欲望を濾過して純粋だけを取り出すことはできるのだろうか
我が物にしたいなど望みはしないし、抱きしめたい希望はない、口づける夢さえも
ただ、世の中の縛りや掟がネットとなって僕の欲望を除き掛けてくれるなら、ただ好きですとだけ伝え私はゆきたい
妻の存在は後頭部に突き刺さる

またディルドオナニーで済ました一日
腰を捻らせ私のみぞ知る私の壷を刺激する
楽勝にオルガズムを得る手段で楽な生き方に埋もれたて達して寝る
このところ毎晩のオナニーは欠かさないし、それを欠かすことは”もったいない”と、ただおもう
あの人との行為に興じて、解き放つ我儘な自分
誰も触られない私の最大の自由、私の脳内
剥き出しにすれば良いのに恥じらいを譲らない
我が儘と羞恥心が同居して、人であることを確認する
ディルドにまとわりつくローションと私を拭き取り、オーガズムは天からのオリモノである、悟る
あの人の八重歯が、私の肩を愛撫する流れで始まる一連で私は必ず畜生になり、小ぶりな胸の敏感な乳首が閧を挙げて、はてな

夫の言った一言が気になってセックスを拒むようになった

おっぱいってちいさいほうがかんどがたかいんだって、こどもみたいにくちをあけて、わたしの満乳を
八重歯でいじくりながらいった
なんだかさむくて❤️
あの子のことが好きなことなんかとっくに知っている

馬花342

カタンカッタ
トイレで小便をしていたんだ
カタカッタン
後方のドアから妙な音が鳴る
カッタンカタ
個室の70cm角
寒気がして振り返る
チャーチャー
前方の木壁からカタカッタン
え
ピチャピチャ
前方に向き直した
小便はシブキをあげたまま
カタカッタン
天井が響く
う
尿音が僕を包んだ
カタンカッタ
れ
小便の細流を見つめて
癖にその健康を一瞥して
天井を見上げる
カタカタカタ
あ
瞬間床から音
な
足は立ち尽くしたままに神経がおしっこする
深夜の公衆トイレの個室だった
小便用の2台の1台は使用不可になっていた
1台は男が利用していた
緊急を要した膀胱はほんの罪悪感を掠めながら、たった一つの個室を選択して、立ち用を足していたのだ
床に目を向けた
グルグル
は
トイレットペーパーを回転させる音
グルグルグルグル
小四角形を床からロール音が包んだ
さ
コンコン
床に視線を向けた途端ノック音が前方の木壁から呼ぶ
前方に向いた視線
カタンカッタ
へ
後方から音がなる
最初に聞いた音とは違う、スコスコ
ドアから響く淫茎な音
チャー
ぷ
振り返る
小便は余勢を迎えていた
ピタピチャ
み
尿道の先端から最後の雫が零れた音を合図に
振り返ろうと
ね
ジリジリジリ
頭の中から音
迫りくる何か
ん
右手が左腕を掴む
パニック
左手が右太腿を力一杯に潰す
PANIC
締めた筈の小便はまだ閉まっていなくて
お
乱らな小便もやがて終わり
まだ音は鳴っているスコスコ
振り返る
パン!
公衆トイレ内に響き渡るような大きな音
ツーー
頭の中を音が線のように走る
キー
出たらまずい
早く出たい
PAN
出たらまずい
早く出たい
PANICが襲う
出たらまずい
早く出たい
ちゅ
喉が鳴る
きゅ
痺れる左腕
ぴゅ
染みほどのオモラシ
わ
脳が飛んだまま
個室から出る行為に向かって
鍵の掛かったドアを押す
なんで、出れないんだ
おかしい、
2度目は鍵の掛かったドアを目一杯押した
出れない、なぜだ
あ
動悸が涙を誘い、は、もう一度
3度目も鍵の掛かったドアを強く引いた
ま
落ち着け落ち着け
なんとか心を落ち着かせるよう自分に言い聞かせて
4度目
鍵の掛かったドアを押したんだ
涙が溢れた
し
ああ僕はなぜ生きているのだろう
く
「何も考えなくていいんだよ」
ち
優しい声が耳に温く入ってくる
め
5度目の試みで、僕は出ることができたんだ
トイレに入った時に目が合った小用を足していた青いドレスの男が手を差し出してくれていたのだ


馬花341