馬花 184-190

男子生徒のブレザーは小さくなった

女子生徒のスカーフが春らしく揺れていた

翅はね中学校の卒業式は2028年3月24日の金曜日に執り行われた

学び舎は京成電鉄の大神宮下駅にほど近い場所にあった

千葉県最大規模の大型商業施設が圏内にはあって、放課後や休日には子供たちも自転車を漕いで遊びに行った

其処は大人へと駆け出す課外授業として煌びやかな世界だった

卒業式のあと、そのららぽーとで謝恩会が開かれる予定だった

卒業式が始まった

幾度と練習した通り、整列し行進する

着席、号令に呼応して、規則正しく席に着席した

開式の言葉から始まり、君が代を皆で歌った

来賓が紹介された

卒業証書授与式

ひとり、またひとり

名前が呼ばれていく

はい

2組に入って担任の黒田先生が名前を呼ぶ

大熊武志

はい

影山今日花

はい

住倉雄介

はい

瑠美流智哉

はい

学年主任の遠山先生が校長先生にペーパーを授け、生徒へと卒業証書が手渡されていく

ペーパーを介して繋がった時、”おめでとう”と柔らかな微笑みを捧げた

“ありがとうございます”

話が短く端的で、恍惚な肌艶が健康を明示して4,5歳は実年齢を茶化しても疑いの掛からないような校長だった

凛々しく背筋の伸びたその姿は、長として相応しいシルエットだった

卒業証書授与式を遅滞なく終了して

校長先生の式事に移る

校長の唇がゆくりと開く

「皆さん卒業おめでとうございます。合わせて、御父母の皆様も誠におめでとうございます。

今日という日は皆様にとって新たなステージへの門出の一日となることでしょう。

私は3年前に翅中学校の校長に就任しました。

子供たちと過ごした時間は、私にとって人生のトキメキであるのです」

柔和な口調で話が進められた

平素からテンポの良い口述に長けた校長は生徒から、親から支持されていた

ふと、語気に力みが加わった

「・・・それほど、親御さんの影響は大きいのです」

静まり返る体育館

涙を浮かべる教員が一人、二人

呆然に絡みつかれた親

サザめく子供たち

「裁定委員会を設立します。教員も裁定委員会を通して子供及び親に対しての問題点を提起できるようにします。私には子供達と同じように、先生方を・・・」

若い女性教員はハンカチで目頭を押さえていた

中堅の男性教師は頭を抱えて床へ向けて顔を伏せた

3年間様々な問題が起こりました。子供達の喧嘩や教師に対してのクレーム。親御さんの方から、先生による威圧を被ったなどという発言を受けた事象もありました」

父母席から冷気が漂う

仲春の体育館を緊張が覆う

上履と床の擦れる音が拾えた

キュッ

「一方で子供達が先生を揶揄ったり、嘲笑したりといった事態があることも真実なのです。大人であるとしても”複数”には対抗できないんです。相手が子供であったとしても・・・」

咳払いが響いた、低い呻き声がゴーストのようパイプ椅子の下を這っていく

子供たちは静寂した

「・・・精査して裁定が下されます。退学、停学、名誉毀損、学園運営の妨害による賠償など。」

声色が怒号へと上情する

卒業生や在校生からも、数人の生徒が制御を破り席を立ち上がった、パイプ椅子が点点と暴れる

泣き出した教師がいた

鋭い刀を抜いて仇を取った侍、毅然と真っ直ぐに直立不動、口を閉じた

教師たちは場を収めようとしなかった

仕方なく、

来賓の中から二人男女、卒業生から一人の男がステージに向かって場に収拾を試みた

「雄介・・・」

曇気が覆う中、祝典は祝典とは呼びようのない速度で進行されて、送辞、答辞、史上稀に見る小動物の泣き声のような校歌斉唱が執り行われた

雄介の答辞だけは良かった

雄弁な口調が澱んだ空気を微かに打破し掛けた、紋付袴だった

PIZZA

僕らの中学校生活は終わり

             言葉の世界

                 千葉

・・LEANING  PARALLEL・・

              絵の世界

                愛知

私たちの中学校生活は始まり

雄介の登辞ひどかったなー

小学校の卒業式ね

あはは、えらい緊張してたわ

かみかみ

うっさい

あんなの

えりゃあ緊張するに決まってるし

ふっ

だもんで

良かったな

卒業式

うんそう

謝恩会も

でら楽しかったみゃー

なんて言った?

その店

あのシュークリーム屋のハス向かいの

OR HASHI

だみゃあ

・・・・

暖かな春

早春の木漏れ日

今日

僕たち

私たちは

花小学校

翅中学校

恋した女

変わらぬ仲間

真新な装い

襟立カッター

スカーフネクタイ

シュッとした背筋

新生活

めっちゃきついで

千里の坂道

関大の山登ごくり

風吹く街の謝恩会

聳える観覧車

EXPOの路面通

ケンタの無限胃袋 

昭和へのタイムスリップ

万博へのタイムマシン

爆発の足跡

太陽の万白

芸術の足音

右涙の爆発

金の爆

ケツ

大阪

写真の世界

・・・・斜の並行世界・・・・

            ハスパラレル

6つに割れた校門

〜スキだらけのチュー坊〜

馬花 185

揉み上げは切らないでください

エメラルド山に新緑が芽吹いた

コブシの木が悠然と聳え、豊かに新葉をつけている

風薫る5月、立夏の陽かな山気、梅雨の訪れのまえ心地よく過ごせる時季だった

2月に友人になった3つの生命体は、相変わらず行動を共にしていた

「キッスク?其れはなんですかキサマ様」

「なんじゃハミルよ。ソナタもキッスクではないか。知らんのか。説明してやってくれ、ワエハ」

「はい。ハミルよ、キッスクとはオイラたちのことだ。人間の言葉を話す動物や昆虫や魚たち。だからハミルもオイラもキサマ様もキッスクだ。この世にはキッスクの仲間たちが大勢いるんだ」

「キッスク・・」

・・・・

「ちょっと電話してくる」

「うん?ストループ、誰にだ」

「リリーだ」

「はい、リリーです」

「ストループだ」

「ストループさん。ご苦労様です」

「パーマーが足りなくなってな。しっかり送金してくれ。校長だろ」

「は、はい。すいません。今月の給料が入りましたら多めに送ります」

「おう、頼んだぞ。こうちょー先生」

KISSUKU

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「富士が綺麗だ」
花美哉は愛も変わらぬままに富士山を眺めていた
雲一つない蒼天、積雪の白がはっきりと確認できた、、5月の富士は霞が掛かることも多く全貌を表すことは稀だが、今日はシカと確認できた
静岡ハミル牧場では鹿も放牧している
さて、ハミヤ
3歳になった今、デビューが近づいていることは当馬も認識している
「ハミヤどうだ、調子は?」
牧場主のユタタが寄ってきて、花美哉の頸あたりに手を置いた
「ちょっともう少し走り込みたいかな」
「茨城調教場ではもっと確かな訓練ができるぞ」
「うん、わかってる。しかし・・」
「なんだ」
ユタタが花美哉の鼻梁の星を見つめた
「富士とお別れか・・」
其れから視線を逸らし、人間を見つめ、微笑んだ





・・・・

キッスクという生物

人間の言語を話す動物

・・・・

5月11日
府中競馬場  パドック
「めんどくせぇな」
「まあそう言うな、ガキ、、熊杯の試走だと思ってさ、気楽に行こうぜ」
「なんだよ、負ける訳にはいかねえだろ。こんなところで」
「そうかい、随分とやる気じゃないか」
「H1だろ」
「ああ、そうだ」

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「おおーと、てやんでえ。こりゃやべえぞ!ガキの末脚炸裂だ!あらよっと、4馬身差の楽勝だ。H1 風杯を制したのはガキとホーナーの疾風コンビ。4戦4勝」

1.32.4

東京の空、おぼろ模様の高積雲が蒼空を漂っていた
G調教師が3歳男馬のガキと鞍上ホーナーを検量室前で迎えた

「良くやったぞ、ガキ」
「へっと、当然よ。こんなとこで負けてられるか」
「足は大丈夫か」
「ああ、大丈夫だ。なんともねえ」
「そうか、骨折明けの不安心がややあったが、杞憂に終わったようだな」
ホーナーが下馬して鞍を外す
「これで、大一番は万全で向かえます」
「ああ、ホーナーありがとう。あとは滋賀で軽めの調教とガキの好きなプールで調整していくよ」
勃如、残留していたガキのアドレナリンが雄叫びを上げた
オギャーン!



4歳牡馬 クラシック四冠
第2戦 熊杯へ

2025/6/1
日本ダービー


ミノリとピンタの母娘が寄り添っている
「あっ!おにいちゃーん」
「ハミヤ」

白い馬体が、黄の母ミノリ、桃の妹ピンタ、に近づいてきた
「母さん」
静岡ハミル牧場ネモフィラカーペットではなかった
彼の口に咥えられていたのは、母さんの毛色と、彼の額色と同じ
「いつもありがとう」
菜の花だった

よし、

夏が来るぞ

出動だ

なあ、俺たち

どうだ、良くないか?

人生で一回くらいはな

母の日

一月前

古いアルバムめくり

母さん

もみあげは切らないでください

しめじ頭に

なってしまいました

兜虫を

はは

馬花 186


馬花 187

かわいくなんて、

期待されていないから

かっこいい女であることを、

期待されているのなら

斜に構えた、屈さぬ姿勢

胸を張ると心は萎んだ

周りを失望させないため

期待通りに下手に笑う

テディベアのぬいぐるみが好きなんて

所望されていない

10m ²の部屋

姿見と向き合った、あたし

耳朶に針を刺して罰を執行した

ルビーがあたしの罰を装飾する

六畳

上手に笑えた

ペチャパイを見つめて

柔らかな唇に触れる

腹の赤が女を染める

淡かった乳房が色を強めて

汚れてしまったと、赤色吐息した

萎んだ心と膨らみました胸

ツキ出る0歳未満

何度も失敗はできない

ダブルフォルト!

私の高校総体は終わった

2回続いたサーブミス

ダブルスの片割れが寄ってきて

「美春先輩、ありがとうございました」

後輩に抱きしめられた

高校3年生インターハイ予選

トーナメント表の中腹でいつも通りに下山して、

私のテニスは終わり

第2回生徒会 5月

「由美!来てくれたんだ、ありがとう」

「キャキャ先輩、私だけですか」

「うん、3年生はみんな部活とか忙しいから。2年生はなんで来ないんだろう。由美、聞いてない?」

「いや、聞いてないです。あっ、でも」

「なに?」

「五月雨だから」

「さみだれ?まだ梅雨じゃないでしょ」

キャキャとユミが目を合わせて、由美が学園鞄から傘を取り出した

「私、折り畳み傘好きなんです」

「そうなの?かわいい傘だね」

「ありがとうございます。私、雨女なんです。誕生日はいつも雨だし、外出しないといけない日は必ず雨が降るので。お守りなんです。折り畳み傘は私にとって安定剤のような」

「安定剤・・折畳傘?」

「ええ、あっそうだ。2-Bの描流は来ないと思います」

「カケル?どうして」

由美が藍の傘を差した、

生徒会室、20平米

「アイツは、濡れる男なんです」

十二畳、基地

生徒会長、キャキャ

・そう、大切な話があるのに・

カワキタ 3-D

「リャリャすまない、放課後に残らせて悪いな」

「いえ、大丈夫です」

「リャリャこれからどうするつもりだ。俺も担任として把握しておきたい」

「はい、9月に出産予定ですので。先日先生とお話しさせていただいたように、夏休みに入ってからシャヤは学校には来れませんが、出産の後、年明け頃にはまた通学できれば。もちろん彼女の体調次第ですが」

カワキタが頷く

「赤ちゃんはどうする」

「生まれた子はしばらくシャヤの家で育てます。ご両親も協力すると言ってくださっています」

「そうか、リャリャ。あの、あのな」

カワキタが俯く

「お前働いているだろ」

「えっ、いや、、はい」

「どうして言ってくれなかった」

「すいません、知ってたんですか」

「学校だって調べるんだ。特にお前たちはマークされてるんだから、言ってほしかった。H配送センターだな。どんな仕事してるんだ」

「ネット販売の仕分けのアルバイトです。これから金が」

「わかるが、うちの学校がアルバイトを禁止しているのは知っているな」

カワキタ

「リャリャ退学だ。すまない。理事・職員合同会議での決定だ。俺にはどうすることもできなかった」

「・・・わかりました、はい」

「前期終了の10月13日まで、シャヤもだ」

卒業はできない

「どうしてシャヤが。関係ないじゃないですか!」

「バイトだけじゃない!バイトじゃない、お前たちの”事”だ。体裁を気にするんだ、学校も!組織なんだ。コトが学校の評価や入学志望者数に影響を及ぼすかもしれない。すまないリャリャ。理解ってくれ」

血走る両眼

「シャヤには僕から話します」

「ふざけないでよ!」

3-D学級委員長アイサ

「ざけんな!学校!それでも」

63ヘーベー

緊急クラス会を開きます

議題は

①クラスメートの退学

②アルバイトの容認

③父校とならなかった理由

classmate

39情

「母校と呼べるのか!」

馬花 188

第一回

H1 熊杯

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馬花 189

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馬花 190

2月だった

強くなるためにナオトの元を離れた

アロヤの元に弟子入りを乞うた

崖から突き落とされた

修行

季節は移り、

あの時の枯れ木には青々しく緑と、

紫のガクアジサイが咲いていた

「アジサイか。紫の花」

「それは花ではない」

「誰だ!」

「お前が花として見ているのは萼じゃ」

「がく?」

「そうだ、例えば、ほれ。バラじゃ。花ビラの外側にある部分が萼じゃな」

「へぇー」

「アジサイの花に見える部分は萼片じゃ」

「ほー、では」

「小さなところをよく見るんじゃ」

「紫陽花のはな」

「ではな、ハミル、辛抱じゃ」

「えっ、どうして俺っちの名前」

昆虫は去っていった

「誰じゃ、今のは、ハミル」

「キサマ様、いや誰でしょう」

蠅のワエハが舞い踊っている

「カブトムシか」

「夏が来るぞ」

ーあの時ー

3月の冷闇

「お兄ちゃん帰ろう」

「いいのかレディニルツ」

「うん、片足サンダルでいいよ、私」

一同が介した遊園地

「これは」

「なんだそれ」

「ガラスの靴だ」

「ほっとけよ、ラララ」

「ああ、、、いや」

「なんだよ、ラララ。お前そんなの欲しいのかよ、男のクセに。」

「・・・」

観覧車だった

あれから3ヶ月

2025年6月

宝探しは続いている

「お前あの時の」

「お前あの時の」

あの時

ハミルをHRHMから奪還の時

対峙した2人、再び

サンダルが切り出す

「何をしている」

「お前こそ」

パンプスが受け返す

「お前には関係ない」

「こっちこそ」

互いを牽制する2人

「なんだお前、ガラスの靴なんて胸に掲げて恥ずかしくないのか。男のクセに」

「なんだと、お前だって!ピンクのサンダル、それ女モンだろ。そんなもの胸に掲げるなんて、やばいなお前。男のクセに」

「なんだと!このサンダルを貶すとは!許さん!」

「お前だって!俺のパンプスをケナスことは許せねえ!」

アロヤが虚をつかれたよう、口撃が止まる

「パンプスだと?」

「!ああ、あ。そうだガラスのパンプスだ」

「ハイヒールじゃないのか、それは」

「これは、パンプスだ。足の甲の部分が開いているのをパンプスというんだ。ハイヒールは踵の高さだから、まあ、このガラスの靴もハイヒールと言えばハイヒールだが。パンプスのハイヒールということだ」

「お前、、、」

「だからガラスのパンプスなんだ」

「、、、顔、赤いぞ」

赤面しながらパンプスを熱弁した男の紅顔がより色を深めた

「ちょっと見せてくれ」

「えっ」

アロヤがラララに近づいて、ガラスを覗き込む

「綺麗だな、この靴あー、パンプス、パンプス、パンプスな」

「何度も言わなくてもいい!」

夕焼け、ガラス、水晶体

アロヤの瞳にオレンジが注ぎ込まれる

あまり熱心に見つめられるもので、ついラララ

「お前のピンクのサンダルも、か、かわいいな」

夕焼けの赤が淡むほどに

ラララは、赤く染まった

「また」

「ああ、」

女モンの靴が繋ぐ、男二人

宝探しは続いている、ラッララ

「ただいま」

おかえり

ふう

お家が一番落ち着くわ

ハミル

また

あの時のように。

探しに

行くから


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