ミステリH 6-10

355.ツツジ  躑躅  6/7誕生花

ミステリH⑥

二文字を足した

4+2=6

真新しいランドセル

マジックテープの靴

天高く突き上げた右手と横断歩道

“よくできたわね、算数”
‘ママー’
“ヨンたすニはロク”
‘ちがうよ、ママ’

‘4足す2は’
‘だいすきママ’

母は毛布となり
息子をくるんで

“ありがとう”

・・・・・・

ハミルは思い出していた

ランドセルの匂いと初心

黒は赤に四も六も伝えられなかった

2でよかったのに

・・

ママには素直な思いを伝えられたのに

ママどうして

・・・・

ハミルの恋は”伝えられず”で終わることが多かった
どんなに相手を愛しても、音にできなかった
響かせなかった恋は、嫌われて、嫌い返す、デコボコ恋の末、行き場を失い、置いてきた

・・・

チナナの音を奏でる
決意を新たにした

・・・

“好きです”の主の心境はいかほどか

想いを認めた恋文は、ハミルの眠れる感情を引き起こして
“だいすきです”を誘発した

ハミルの受は、明後日の方向へ走り出してしまった

名有りだったとしたら

・・・

5/29(水)

タスイはマンバと会っていた
役所勤務を終え、シュークリームを携えて18:30にマンバの家に来た

「おじゃまします」
「どうぞ」
ほぼ親友の二人

「ごめんな、急に」
「大丈夫、うれしいうれしい」
マンバはノーメイクだった

「すっぴんやな」
「今日ずっと家」
「うん、素顔もいいで」
「うん、知ってる」
いつもと返答が違い、キョトンとしたタスイ

「山姥、山を降りようかな」
「えっ」
「タスイみたいなナチュラルメイクにしてみようかな」
「ホンマに?」
「うん」
「なんで?」
「仕事、OLみたいな」
「そうなんや」
マンバはチラシのポスティングや内職でボールペンの組立てなどの仕事をしていたことがあったが、今はしていなかった

+-×÷☁️

特別な状況下の人間たち

ナツコ、マンバ、チナナ
ハシメが恋妄想した3女
タスイも含め4女

この4女は、ハミルENの女だった
そこはカネの繋がりを家族とするEN  縁円園苑だった
成人40人の合計月収を成人40人で均等に分割する

最近は
無職でも40万円の収入が約束されていた

役所勤めのタスイも無職のマンバも
月40万円の手取りがあった (仮想社会、税務関係等省略)

+-×÷

「私も貢献しないと」
「うん」
「みんなに頼ってばかりじゃ」
「まあな」
「妖怪じゃ難しいでしょ」
「普通の仕事は、どうやろ」
「私も31だし、そろそろ」
「うん、OLするんや?」
「そう」
「ホンマにいいんやな」

・・・

+-×÷

ハミルはタクシードライバーだが、ハミルENの傘には入っておらず一般の生活を送っていた。

ハミルENは結婚を認めていない。結婚を決めた場合はハミルENを退ENして、ごく全うな家族を築く。

金で家族を築くか、あの薄紫の書面で家族を築くか

もし、ハミルの恋が成就し、彼が婚姻を求めた場合は

①女はハミルENを出ていき結婚を選択する
②結婚できない旨を伝え交際のみを続ける
③結婚できない旨を伝え破局する
④内縁関係

+-×÷

タスイは厳しい表情でマンバを見つめた。

「ホンマって?」
「あの夢は、いいんやな」
「それは、私だって」
「立派な夢だと思うで」
「でも」
「年齢的にもラストチャンスやで」
「そうだけど」
素顔のマンバは弱い

「一度、みんなに相談したらどうやろ」
「えっ」
「マンバがその気なら、みんな応援すると思うけどな」
「そうかな」
「私、みんなに話してみるで」
「えっ」
見つめあう、女2人
頼りない承諾
「じゃあ、一応」

「あっそうそう、マンバ日記つけてたよな」
「うん」
「5月21日(火)何してた?」
「えっなんで」
「ちょっとな、嫌ならええけど」
「その日、ガルオの誕生日だからお祝いしてたよ」
「ガルオ?そうなんや」
「うん、お兄ちゃんだし」
「そうやな」
「うん」
「1日中?」
「ううん、昼過ぎからケーキ作ってガルオ兄さん家行って、お祝い、33歳、年子だし」
「そうか」

・・・

ハミルは母に電話をしていた

あの六文字を文字って

チナナに毛布を請う

・・・

タスイはハミルに
マンバの線は薄いことをメッセージし

直ぐ

アロヤにメッセージを送った

(マンバの夢  ヤマンバの世界進出を叶えてあげたい)

#ハミル
#タスイ
#マンバ
#ミステリH

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359.ベニバナ  紅花  6/11誕生花

ミステリH ⑦
2024/5/31(金)

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ナツコは名古屋駅に隣接している
ある百貨店を訪れていた

隣には弁護士のタケーがいた

ナツコの仕事はアパレルデザイナーだった
新作のデザインをした商品の販売状況の確認が目的であった

タケーは仕事には関係なく、友人としての同行だった

ナツコは主に男性用の洋服のデザインをしていた
夏に向けて新作を発売していた

向日葵のネクタイ

ひまわり柄のネクタイだった

ナツコのデザインは奇抜だった
35歳のナツコは9年前からデザイナーをしている
新人に近い頃にナロータイに蛍光色を施した商品を3塁打させたことがあるが、それ以来はヒットか凡退である
2割7分
本塁打はまだない、が
見逃し三振もまだない

空振り三振は多々あるが
やはりホームランを打ちたいから。
前向きな三振だった

ショップの店長に話を聞いた
セカンドゴロだった

この日は5月の最終日であり、
水無月には2打席目
文月には3打席目
葉月には四

あと3打席あるから
販売プロモーションなどをこさえて、出塁を狙う

ひとまず
父の日のディスプレイを店長とバッテリーした

タケーは7,000円は高いと思ったが
言わなかった

ふと、今抱えている案件の依頼人の顔がよぎった

タケーはノーネクタイだった

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・・・

ハミルはチナナに夢中になった
マンバ、ククラと3人の女に絞ったはずだが
妄想を重ねることで、本心の答えを導いてきた

マグロ、サーモン、エビの三色丼は浮気心が過ぎる、のかな

お魚くん達が男子ならば
‘おいおい誰が好きなんだよ’
“三股ですかね”
‘”俺一番に食べられた、やっぱりこの俺マグロ様だ’”
‘馬花、一番好きなのは最後に食されたエビのオイラだ’
“おいおい尻尾残されてんじゃねーかよ”

ハミルは好物のマグロとエビを自重し
大好物サーモン一色の一途を決めた
さーもんチナナにいつ想いを告げようか
少々犯人には残酷だが、チナナに舌を占拠されていた

ハミルは気づいていた
“好きです”のラブレターだ
これと3人の自筆、合わせて知合いの女などの文字も獲得できてしまえば、筆跡鑑定でも出して犯人の目星がつくのではないか

やめた
ネット検索で高額だったこと、と
何より
犯人がわかってしまえば、チナナへの想いが揺れる。
奇妙だ、恋文犯人を知りたくなかった

決戦はいつにしようか
チナナの誕生日はいつだったかな

DREAMS COME TRUEが脳内に巡った
三色だった

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・・・

2024/5/29(水)

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アロヤは震えた
(マンバの夢  ヤマンバの世界進出を叶えてやりたい)
タスイからのメッセージだった

「バブル!これ見てくれ」
「アロヤ、どうしたッチャ」
ルームメイトの2人だ

「マンバ、やりやがった!」
「山姥、世界進出?」
恋仲ではない男女、哀愛
アロヤ35歳
バブル50歳、宮崎の出身だ、都城だ

「叶えてやろう!」
「いいけど、どうすればいいっチャ?」
天真爛漫。とりわけ女性に使われることが多い四字だが、アロヤはその言葉が都合よく当てはまる無邪気さがあった。
「応援だ!」
「応援っちゃか?」 

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「よし、マンバに会おう!」

・・・

2024/5/30(木)

マンバは兄ガルオに会っていた

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「マンバ、許さんぞ!俺は反対だ!」
「お兄ちゃん、私世界に出てみたいの。
私に勇気と自信を与えてくれた山姥を世界のヤマンバにしたい」
「何を言ってるんだ、このメイクは俺たちに明るさを与えてくれたさ。それでいいじゃないか。それだけだ。わざわざ世界に恥を晒すな!」
「恥って、私はそんな風には考えない!山姥に感謝してるし、これが私の姿だし!」
「お前・・・世界っていうのは具体的になんだ」
「パリコレ」
「馬鹿野郎!!」

ガルオもマンバと同じく薄顔だった。
山姥に変身してから日に日に陽気になっていく妹に一種の憧れを抱き、ガルオもギャル男に色変した。
ガルオのオレンジ髪は自身に太陽を、少し与えてくれるだけで良かった。見せたくてその姿になっているわけではなかった。”生きるために必要な姿だった”

わざわざ
世界にその姿で挑もうとする妹が許せなかった

「いいでしょ!夢くらい見たって」
「お前、想像してみろ!」
「なによ!」
「パリに山姥が現れてみろ!」

エッフェル塔が傾くぞ

巴里に満花と日の丸さ
暑い夏になりそうだ

#ナツコ
#タケー
#ハミル
#アロヤ
#バブル
#マンバ
#ガルオ
#ミステリH

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367.ペンタス  草山丹花  6/26  誕生花

ミステリH⑧

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ハミルは顎やや右上、目線左下のキメ顔を決めていた。

あれから約1ヶ月が過ぎていた。

5月22日のラブレター。

カレンダーは6月26日になっていた。

我儘な妄想の末にチナナのことが好きだ、という本心にたどり着いたハミルは覚悟を決めた。

ラブレターの犯人探しに協力してくれたタスイには、礼を告げて、犯人探しを一旦中断することにした。

チナナへの想いに集中した。

しかし、一月がただ過ぎ去った。

気持ちは満たされていたが、勇気が満たなかった。

何度もあのポーズを練習したから、仕事中に出てしまうこともあるくらいだった。タクシーのお客さんに顎右上目線左下を繰り出して気味悪がられたりした、一月だった。

いつもそうだ。

本当に好きな女には告白できない。

変わらなくてはいけない。

40歳になったんだ。

ハミルは結婚願望が強かった。

年齢もいい頃合いになったから、もしチナナと交際できたら結婚を申し込むつもりだ。

ハミルに近しい女性たちは、なにやらハミルENという風変わりな家族体系をとっていて結婚ができないなどということを、認識していた。

結婚して家庭を築くのがハミルの夢だから、それは実現したい。人生なんだ。チナナをそのENから引き摺りだす覚悟も決めた。

自分の名前と響きが同じなことに、ほんの不気味さを感じた。

・・・

指先が震えた。

いざとなると、弱気が出る。

(チナナ、元気?

伝えたいことがあるので会えませんか)

意を決した。

6/26(水)  19:00

22:00

(ハミル、久しぶりだー。

仕事だったよ、返事遅くなった。

うん、いいよ、いつ?)

(29日の土曜日はどう?)

(仕事だな。7月2日(火)は?)

(大丈夫。ありがとう)

ハミルは

7月2日は前日の21:00から夜勤で6:00までだ。

(チナナの家の近くの公園で会えませんか。17:00)

告白できなかった過去。

食事に誘い想いを告げようとしたあの日。

サバサバした相手の態度に、脈なしと勝手に判断して、怖気付き、弱虫になったあの時の二の舞を踏まないために。

喋らせる前に、自分勝手に告げることにした。

(公園?いいけど。

いいの?うん、いいよ。17:00ね)

(ありがとう)

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・・・・・・・ ・・

チナナとは4年前に出会った

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#ハミル

#チナナ

#ミステリH

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370.キンギョソウ  金魚草  7/2誕生花

ミステリ⑨

雨上がり、黄昏時、控えめな公園

のち晴れとなる空から燦燦と勇気が降ってくる

目の前には女

心臓が強く揺れるようで

ブランコが視線を掠めた

滑り台の頂点を見据え

少年なりの頂の征服感を思い出した

鉄棒は美しく背の順に並んでいた

成長と共に右滑りに鉄を変えたあの時

砂場とジャングルジム

遊具から疾うの昔に卒業した

目の前には女

弱虫は卒業したか

目の前には少女

あの頃から告白の類は

できなかった

恥ずかしかった、少年

ふいに少年が背中を押した

「好きです」

笑った

彼女が笑った

二つだけ決めていた

本気の想いだけを確かに、やる

しっかりと眼差しを、やる

少し照れてるように見えた、女

「本気かどうかわからない」

ハミルはそのセリフをしかと受けて、正直に全てを伝えなかった

5月22日に拾った一通のラブレター

これの犯人探しが妄想を引き起こし、女への想いを膨らませた。

これは、省略した

その上で真実のみを正直に話した

日々、君のことを思い憚っては頭から離れない

その想いは苦しみに変わり、気持ちを伝えずにはいられなかった

しどろもどろしながら言葉がうまく出てこなくて、言葉を一つずつ思い出しながらゆっくり話した

覚えたての文字をゆっくり注意深く発音する幼稚園みたいだった

20分程、思いの丈のみを話した

うんともいいえとも、言われずに

公園を後にした

・・・

帰りの電車の中

右ポッケにメールが届いた

(ハミル、ありがとう。

とても嬉しかったです。

あんなに正直に想いを伝えてもらえたのは、初めてのことで本当に嬉しくて。感謝しています。

本当にありがとうございます。

あの、私でよければお付き合いさせてください)

文面を読み終えた頃に最寄り駅に到着した

階段を駆け上がり、外に出て緑の中へ小走りした

人もまばらになったところで

ハミルは右手を突き上げた

名城公園の木々達がざわめいた

誰一人、木も草もベンチとてお前の恋模様などに関心はない

薄暗がりの中

彼の拳を祝福したものは

彼の拳だけだった

#ハミル

#チナナ

#ミステリH

#20240702

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375.ホテイアオイ  布袋葵  7/13誕生花

ミステリH 10

青天の霹靂
ハミルから恋を告げられるとは思わなかった

・・・

ハミルが運転するタクシーに乗ったのは
4年前だった

名古屋駅から昭和区の自宅まで飛ばす県道60号線
友人との飲み会で酒に呑まれていたチナナを介抱したのが
ドライバーのハミルだった

有事の際にと残されたハミルの連絡先に
後日礼の電話をした
なんとなく会話が弾んだ
それからメッセージのやり取りをする関係になった
皆にハミルを紹介したのもチナナだった

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少し軽薄だったか

恋の相手としては意識してなかったのに、
前の恋心が終わりに近づいていたし。

ハミルの真剣な表情や想いを告げる
たどたどしさ、が嬉しかった
しどろもどろ、が本当に愛おしかった

直ぐ、交際を決めた

少し軽薄だったかな

喜色満面
ハミルを幸福感が包んだ
想いを寄せた女性との交際が叶ったし、
しっかりと自分の想いを告げた

目を逸らさなかったし、
緊張にやられ言葉が詰まったが、
俺はちゃんとできたよ

うん、そうだよ

不可思議にも

きちんと、男の役目を果たしたこと
告白が成功したことよりも

ちがうよ

🤱4+2=だいすきママ🤱だよ

まま

七文字を唄ったよ

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#ハミル
#チナナ
#ミステリH

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